ルーティ危機一髪!?




「ふげええぇえええ!?」


開幕三秒。

見事なまでの叫び声。


「……成る程」

その人は感心したように。

「面白い事象だな」
「感心してる場合じゃないよね!?」
「俺は困らないからな」

言った後で気付いたように。

「君の普段の一人称に合わせるなら"僕"かな」


困った時の神頼みが使えないのは。

この世界における最大の欠陥だと思っている。


エックス邸、バトルルーム。

「はは、そんな顔をしないでくれ」

普段と異なる口調で笑うのはルーティである。

「それともそういう顔がデフォルトなのか?」
「自分の顔くらい分かるでしょ……」

呆れたように返すのはロックマン。

はてさて。勘のいい読者は既にお気付きのことだろうがこの二人──何故か中身が入れ替わってしまっていたのである。こういった事象に理由は様々あるが最も有力なのは室内にある大乱闘システムか。機械の不具合が起こしたことなのだろうがいい加減これを作った誰かさんもメンテナンスの為に足を運んでもらいたいものである。

「そう肩を落とすこともないじゃないか」

というわけで励ますように言うのは中身はロックマンの──こうなってくると紛らわしいので以降は中の人物の名前を表記する。

「そ、そうだね」

ルーティは顔を上げる。

「もう一度大乱闘をして直るかどうか試し」
「それは出来ない」

かと思えば今度はあっさりきっぱりと。

「九時から会議があるからな」
 
 
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