兄さんなんか!
生まれた時からずっと一緒で。
ずっと見てきたんだ。身近な憧れで、誇りで。
時に喧嘩だってするけれど──それでも。
「はあああっ!」
「今だよ、二人とも!」
誰よりも何よりも。
「ボルガノン!」
あなたは。かけがえのない──
「お疲れさん」
これまた派手に一掃してしまったものである。焦げた匂いが鼻に付くがそれでもまあこの洋館自体取り壊しの予定だったし。行方不明だった人たちもこの事態に流石に目を覚ましているようだったけど怪我はしてないみたいだし一件落着、かな。
「兄さん」
「ん?」
「怒らないの?」
一度付いた火も消えてしまえばそうもなる。
「あー」
くだらないことで反発して飛び出してしまったことを悔いているのだ。対するマリオは気にしていなかったのか困ったように頬を人差し指で掻いていたが小さく息を吐き出すと。
「……怒るわけないだろ」
苦笑いにも似た笑みを浮かべながら。
「俺だってお前みたく全部一人でやれると思って形振り構わず突っ走ってた時代があったさ」
「僕たち双子で同い年だよ」
冷静に正論で返されてしまった。
「あーもうとにかく」
マリオはルイージの帽子の鍔を掴むと下に引いて無理矢理深く被らせてやりながら。
「弟のこと心配じゃない兄なんかいねーんだよ。こういう時は素直に受け取っとけ」