兄さんなんか!
ルイージが疑問符を浮かべた次の瞬間である。
「ボルガノン!」
雄々しいその声は確かに天井、いや。
「え」
──空から。
「はああぁあああッッ!」
突如として竜を模した巨大な炎が更に渦巻く炎を纏いながら天井を突き破ってキングテレサに襲いかかった。一溜まりもないだろうなと唖然としていれば目を罰点にして倒れ伏しているキングテレサの傍らに見覚えのある影を見つけてルイージはみるみる内に目を輝かせる。
「兄さん!」
なんと──炎を味方に付けながらその拳を振るい参じたのは自分の兄マリオだったのである。
「大丈夫かい?」
「……! 兄さん……」
次いでルフレの元に舞い降りたのはその兄たるマークだった。大きく口を開いた天井からは晴天の青い空が顔を覗かせておりその中に紛れるようにしてもうひとつの影。クレイジーは瞼を閉ざして息を吐くと姿を消して空間転移。
「助けに来るのが遅すぎない?」
「ヒーローなんてそんなものだしな」
「それ以前に僕の兄さん、でしょ」
影の正体──マスターは笑みを零す。
「ごもっとも」
はてさて思わぬ展開である。是非説明が欲しいところだが生憎のところこれで仕留めきれたという訳でもないらしいキングテレサや子分のテレサがぞろぞろと敵意を明確に睨み付けている。
「いけるか?」
マリオはふっと笑ってルイージに拳を突き出す。
「──兄さんと一緒なら!」