兄さんなんか!
目前にまで迫ったキングテレサ目掛けて引いた拳を振るってみたが当然のように体を透過して透かされてしまった。地面に直行するルイージ目掛けて飛んできた壺は何とか蹴り払い砕くことで直撃を免れたが直後死角から飛んできた椅子が頭にクリーンヒット──ルイージの体はそのまま地面に叩き付けられてしまう。
「はあっ!」
入れ替わるように飛び出したルフレが念力によって投げ付けられる物を足場にキングテレサへ迫るもその行く手を嘲笑うかのように手下のテレサが阻んだ。ルフレはくっと眉を顰めると体を捻りわざと背を向けた後振り向きざま構えたサンダーソードを振るいテレサを薙ぎ倒す──これならと地上のルイージが希望を抱いたのも束の間キングテレサが体に青白い光を纏うとルフレにも同じく青白い光が灯り念力により弾かれて。
「ルフレ!」
声を上げて駆け付けようとしたルイージもまた容赦なく特攻してきたテーブルやソファーの餌食となってしまい砂煙が舞い上がる。
「、く……」
あまりにも埒が明かない──彼らの弱点が炎だということは頭に入っているというのに!
「うわっびっくりした」
そんな声が聞こえて顔を上げると脅かしにきたテレサをしっしっとクレイジーが左手で追い払うところだった。まあ流石に慣れてきたのだろう最初のように声を上げて震える様子もなくルイージの元に歩み寄って見下ろす。
「、……破壊の力は」
「使うまでもないと思うけど」
クレイジーはキングテレサを見遣る。
「雑魚だし。……それに」
疑問符を浮かべるルイージを余所に紡ぐ。
「愛されてるので」