兄さんなんか!
ああどうりで──戦士と名高い自分たちを喜んで招き入れるわけだ。その言葉の通り、その目で見た通りこの洋館に足を踏み入れたら最後能力の全てが封じられてしまう。今の自分たちはまさしく何の能力も持たない一般人という訳だ。
であれば普段対面するだけで茹で蛸のように赤くなって顔を隠すはずの彼らがこうも高らかに笑っていられるのも頷ける。自分たちは彼らの気まぐれでたっぷりと弄ばれた後に行方不明者らと同じ檻の中に放り込まれるということか──冗談じゃない!
「僕に任せて」
ルイージはゆっくりと立ち上がる。
「……何か、策が」
「あるわけじゃないけど」
拳を握り締める。
「……諦めの悪さなら負けない!」
地面を強く蹴り出し、目指すはキングテレサ。先程と同じように念力を使ってあらゆる物を持ち上げてくるがそんなものはよく見ていれば躱すことなど容易である。寧ろ投げ付けられたそれを足場に高く浮遊する奴の元へ──自分が彼らと対峙した時はオバキュームを使って吸い込んだものだが生憎のこと持ち合わせていない。
けれど必ず、何処かに隙はあるはず──例えそれが分からなくたって、兄さんならそうしてる! だったら僕も立ち向かう!
どれだけ無駄でも! 無謀だったとしても!
僕は兄さんの弟だから!
「、ルイージさん……」
ルフレはふらりと立ち上がる。
「……私も!」
駆け出すルフレにクレイジーはぽつり。
「お熱いですこと」