ひたむきな愛に祝福あれ!
これは。……思っていた以上に。
ポケモンが多い。
恐らくその殆どは聖樹の祝福を受けて過ごしていたポケモンだったのだろう。まさか野次の飛び交うような事態にまでは陥っていないが肝心の聖樹に近付くことすら儘ならない溢れ様である。普段こそ背が低いのにこうともなれば埋もれてしまうのは必然でルーティが困っているとその後ろからひょいと抱き上げられた。
「これなら見えそう?」
「、ありがとう!」
レッドはにこりと笑って現状を見渡す。
「ううっ人酔いしそうで御座る……」
「ポケモンだけどね」
項垂れるミカゲにルーティは苦笑い。
「どうやったらまた加護を受けられるんだ?」
「聖樹フィエスタは祝福の神様なのよ」
話し声が聞こえる。
「幸せをお祝いしたいって気持ちが強く働くと、それが不思議な力をもたらすのですって」
あまり深く考えたことはなかったがそういうことだったらしい。
「じゃあ今あの木のテンション低いってこと?」
「言い方はあれだけど、そうだね」
ローナの疑問にレッドが苦笑気味に答える。
「どいつもこいつも神様ってやつは」
「ほら。あそこで色々試しているみたいよ」
呆れて息を吐くネロの横でシフォンが背中に背負った紅色の花の蕾の中から蔓を出して指し示した先。聖樹フィエスタにより近い場所とだけあって更にポケモンが溢れているがそれと同時に何やら盛り上がっている模様。
「私たち、結婚しました!」
「オレはトーナメントで優勝したぜ!」
という正統派から、
「さっきそこで百円玉を拾ったんだ……!」
「おばあちゃんの肩を叩いたのよ!」
素朴系。
「浮気性の元カレと遂に縁を切ってやったわ!」
「推し活総額百万超えしました……」
少し曲がったものまで。
「大喜利かな?」
「レッドたまにずばっと言うよね」
「面白そうだから僕らもやってみよーよ!」
「あ、ちょっ……ローナ!」