ひたむきな愛に祝福あれ!
……というわけで。
地上界の森林都市メヌエルにやって来ました。
「恩に着るで御座るよ」
木々の群れの切り開かれた場所に着陸したのはウルフェンである。その両翼にそれぞれ乗っていたのはルーティとミカゲ。続けざま降り立ったのはネロでその背中にはレッドが乗っていた。レッドは背中から降りるとモンスターボールを二つ取り出して地面に放りローナとシフォンを解放する。
「はーやっと出られた!」
「ありがとうレッド」
「運んだの俺だろ」
「あはは」
リムとピチカが付いてこなかったのは多少なりとも納得がいくが加えてユウとリオンまで同行を遠慮したのは正直意外だった。あまり詳しくは知らないが彼らの家庭の事情は複雑だという噂だし、原種の姿を不便に感じていない以上は無理強いも出来ないので仕方ないところではある。
「わー賑わってるね!」
ローナが思わず口に出した通り普段は人が少ないこの場所も原種のポケモンがあちらこちらに見受けられる。聖樹フィエスタの加護を受けて各地で人に紛れて生活していた人達は溜まったものじゃないだろう。数日程で戻るのだとしても人の数だけ事情はあるのだから騒ぎになっているのも何ら可笑しい話ではない。
「ウルフは?」
コックピットから降りてきたウルフを見上げてルーティは訊ねてみたがひと睨みいただいた。まあ今度の件でウルフェンを出してくれただけでも有り難いと思わねば。それよりも現地に着いたからには早急に解決に導かないと彼の吸う煙草が尽きたら置いていかれそうなものである。
「聖樹はあっちだね」
レッドが帽子を被り直して見遣る先には。
「行ってみよう」