ひたむきな愛に祝福あれ!
原種の姿であれ関係性が変わらないというのは素直に尊敬できる点だと思う。そりゃもちろん自分だってこの姿だからといって差別のようなものをされた試しはないが、苦手意識を持たれるような姿じゃなくて良かったと思わないわけでもない。先程のやり取りを見た後だと特に。
「お前も気にしなきゃいいだろ」
ネロが言えばミカゲも首をぶんぶんと勢いよく横に振るものだから首に巻いた長い舌が近くにいたルーティの頭をべちんと叩いた。
「あだっ!」
「す、すまぬ」
そうして案じた後でしょんぼりとしながら。
「任務については……大方支障はない……だが」
誰もがきょとんとした。
「拙者は……、拙者は……!」
きゅっと瞼を瞑って言い放つ。
「フォーエス部隊の皆にこの姿を見られたくないので御座るよ……!」
えっ。
……ええええぇえ…………
「何だそんなことかとでも言いたそうな雰囲気で御座るな」
実際そうである。
「それを言ったら私だって蛙なのだけれど」
「洒落乙な花引っ提げておいてなぁにが! 味方ヅラしないでほしいで御座る!」
そしてこれである。
「お、おにぃ」
この人面倒くさいよと口にまで出さずともその表情が物語っている。今のところミカゲ以外は特に問題なしといった様子だがだからといってこのまま放置しておくのも可哀想な話。こういう悩みは当然彼だけに限らないだろうしもしかしたら今頃聖樹フィエスタの周辺は賑わっているかも──
「……分かった」
ルーティは意を決する。
「皆でメヌエルに行ってみよう!」