ひたむきな愛に祝福あれ!



愛、……あ、……え?……ぇあ……

「ミカゲは?」

そんな純粋な曇りのない目で見つめられたら。

日陰者の自分には。……自分には。

「ひ……ひゃい……」


あまりにも刺激が強すぎて──


「、……?」

次の瞬間である。

「わあっ!」

ぼふんばふんと軽快な音と共に各所で次々と白い煙があがっていくのにフォーエス部隊の面々は驚きを隠せない。ただ一人何度も目にした事のある光景にレッドは小さく笑って。

「……祝福してくれたみたいだね」


淡い色とりどりの花弁が光のように降り注ぐ。

聖樹フィエスタが祝福したのは。


「び、びっくりした……」
「あはは。皆、大丈夫?」

心配には及ばない。ポケモンから人の姿になったからといって裸であるはずもなくそこはちゃんと直前に着ていた服が繕われるのである。

「やっぱりこっちの方が見晴らしがいい!」
「二足歩行の方が楽だわ」
「俺はどっちでも構わないけどな」

アルフェイン兄妹が口々に話す中でシュルクは聖樹を見上げていた。あれだけの人、いやポケモン達が騒いでいたのに不思議な力をもたらしてくれるこの木が選び取った祝い事がまさかそれだったとは──ひらひらと舞い落ちてきた一枚の花弁を手の平に受け止めて目を細めて振り返る。

「はーやだやだ。お熱いですこと」
「何にせよ任務達成だ。よかったじゃないか」

パックマンとロックマンは口々に。

「お前の口からも聞かせてくれ」
「人前ではちょっと」
「場所を変えれば言ってくれるのか?」


容赦なく。

捻くれ者の陰りを打ち抜く。


「そういう問題じゃないで御座るうううっ!」


直向きな愛に。──祝福あれ!



end.
 
 
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