不屈の心は伊達じゃない!
いやいやいや!?
「いざ!」
手のひらを翳して。閉ざした瞼をその手を退けると同時に開けば双眸は橙色に瞬いた。リオンの向ける視線に完全に捉われるより先ミカゲは素早く印を結ぶと瞼を瞑って。
「──御免!」
白い煙に巻かれる。
姿形こそ窺えないが能力は発動した。
「ふっふっふ」
リオンは肩を震わせて怪しく笑みを零すと煙の中の人物に向かって熱い視線を投げかける。
「開発済み且つ敏感なのだな……」
甘く吐息。口元には笑み。
「……マーク殿?」
えっ?
「……!?」
なんと──煙が晴れるとそこに立っていたのはマークだったのである。シュルクもマークも疑問符と感嘆符を頭の天辺に散らしているがどうやらこれはミカゲの術で変わり身としてあろうことか先程庇ってくれたマークを犠牲に置いたということらしく。肝心のミカゲはというと離れた場所にいたリュウの後ろに隠れており怒りの沸点が頂点に達する前に小さな声で「すまぬ」と。
「ミカゲッッ!」
マークが頭の頂点から湯気を噴き出し顔を真っ赤にしながら追い回したのは言うまでもなく。
いやそれにしても。……敏感なんだ。
「シュルク殿……?」
「うわああぁあ!?」
この人地味に背が高いから息が耳に!
「私は許可するぞ……」
「なななっ何をですか!」
「ナニをです」
セクハラだ。
「──リオンッ!」
そんな彼を止めるべく現れたのは。