不屈の心は伊達じゃない!



無機質な着信音が鳴り響く。

「、失礼」

多忙な人だなあ。携帯端末を上着のポケットから取り出して応対するロックマンを眺めながらルーティはそれとなく感心を抱く。二言三言交わしてロックマンは通話を切ると小さく溜め息。

「大丈夫?」
「ああ」

声を掛ければすかさず笑顔で取り繕いながら。

「提出した資料を紛失されたらしくてな」

怒ってる。

「あれだけ分かりやすくしておいたのに」

絶対に怒ってる。

「た、大変だね……」
「お陰様で」

非当事者であるルーティに対しては終始笑顔で接していたもののひと度視線を外せば無の表情である。偶然か必然か視界に捉えたのは事情を知らず剣士組と話し込んでいたベレト。

「すまないが来てもらえるか」
「? 分かった」

ベレトは短く断ってロックマンの元へ。

「先日作成してくれた資料だが急な入り用でね。データは残っているかい?」
「口で説明するのは難しいな。同行しよう」
「話が早くて助かるよ」

ロックマンはルーティを振り返るとにっこり。

「少し席を外すよ。また後で」


これは。


「……あれ」

扉の閉まる音にカービィは振り返る。

「隊長さんどっか行っちゃったじゃん」

まあそれだけの話だが。

「リオン──」

正面に向き直れば見当たらない。

「……あれぇ」
「フギャーッッ!?」
 
 
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