スキだらけですが、何か?
「──!」
寸刻。紅の双眸の光が尾を引いて。
それは目にも留まらぬ速さで。けれど確実に。
「……お見事」
瞬時に生成された二つの水の苦無がそれぞれ異なる方向から放たれた二発の銃弾を真っ二つに斬って落とした。苦無と言えどもたかが水──本来であれば銃弾に対抗する術など持ち得ない。けれどこうした結果を導き出したのは無論その速さにある。見た目の通り筋力があるはずもない彼は銃を構えた僅かな音を拾うと瞬時に風の流れを読んで最適な角度から苦無を振るった。
彼にとっては。ただ"それだけ"のこと。
「……は」
緊張の糸が切って落とされる。
「はぎゃー!?」
「当たらんかったか」
「相変わらずの腕前じゃな」
「会、議、室!」
ツッコミが炸裂。
「分かったからお前たちそろそろ座りなさい」
ロックマンは小さく息を吐き出す。
「……お二人も」
「ただの親切心じゃ」
「お節介とも言うがな」
シラヌイとモウカは銃を仕舞う。
はてさて。ロックマンに促されるがままパックマンもミカゲも空いている席へ移動する訳だが──その間の視線の痛いこと。ミカゲは椅子に腰掛けると同時に肩を竦めて縮こまった。何気なく隣をちらりと見てみればカズーイと目が合ってしまい反射的に、しかも互いに逸らす始末。
「時間が押してしまったな」
ああ。
「定例会議を始める」
早く帰りたい……!