スキだらけですが、何か?
──恐らくはワックスで整えられたのであろう紺色の髪は仕上げのオイルで甘く艶出し。日焼けとは無縁の白磁の肌に女性も羨む長い睫毛。メイクまで施して劇的変化という話ではないが軽く乗せる程度のことはされたのであろう頬にしても唇にしても惹きつけるものがある。
そうして存在を引き立てるのは首から上だけの話に限らず流行に沿ったクールカジュアルな纏まりを見せる着こなしをするこの青年は。
……ええと。
「パックマン」
「何?」
「ミカゲはどうした」
ロックマンが訊ねる。
「何言ってるんだよ隊長」
パックマンは親指で指しながら。
「ミカゲだけど」
いや。何となくそんな気はしていたけど。
いやいや。いやいやいや。
「ミカゲ!?」
こうもフォーエス部隊の面々が口を揃えたのは。
後にも先にもこの限りだったと思う。
「……ミカゲなのか?」
これには流石のロックマンも凝視しながら。
「は、……はひ……ふへへ……」
顔に似合わないこの笑い方は覚えがある。けれどそれでも俄かには信じられずロックマンに限らず誰もが凝視していた。それもそのはず彼は仕事以外の場面ではいつも目の色形も窺えない瓶底眼鏡を着用していたし髪も碌にセットしていなければ服だって格好も付かなくて。
ふと。シラヌイとモウカが短く視線を交わした。定例会議に部外者の介入など御法度。これだけ声を揃えて驚いておいて単なる他人だったとしたら外部に情報が漏れ兼ねない。裏社会を生きる彼らにとって嘘も真もまずは疑うところから入るのは言うまでもない話──であれば。
声もなく。
音もなければ合図もなく放たれる銃弾を。
捉えられないのであれば。