スキだらけですが、何か?
エレベーターの扉が閉まる。
「ひっ!?」
少しばかり手荒に解放されたかと思えば壁に背中をぶつけた直後に顔面横を通過したその手が壁を付くのだから大袈裟に肩を跳ねた。所謂壁ドンという行為を事故ではなく自発的に体験する機会が訪れるとは──もしや同人ゲームショップに行きたいですって顔に出てたパターン?
「……さっきから」
ジョーカーは静かに視線を擡げる。
「煽ってるのか?」
怒ってらっしゃる!
「そそそそんなつもりは御座りませんでして」
日本語不自由不可避。
「というかそのボタン押さないと動かな」
手を伸ばそうとすればそのまま掴まれて。
「まだ話は終わっていない」
神よ!
いやこの世界の神様はどいつもこいつもとんでもないから頼った方が余計な事になりますけど!
「ミカゲ」
声にならない声が空気となって抜け出る。
「お前は無意識かもしれないが」
ジョーカーは目を細めて。
「誰にでもこうして隙を見せるというのなら」
気が気じゃない。
……俺は。
「壊すのは駄目だよ!」
「分かってる!」
聞き覚えのある声。
「はああぁああ……っ!」