スキだらけですが、何か?
ジョーカーはミカゲの手を引きながらちらっと後方を見た。次の瞬間には眼鏡に光が反射して目の色までは窺えないままジョーカーは何やら察したのか速度を上げて歩いていく。
「あれっ」
人波に揉まれながらようやく駅から脱したその少年はきょとんとして辺りを見回した。
「おっかしーなー」
「見失ったのか?」
遅れて人波から抜け出てその隣に並んで訊いたのはなんとリヒターである。少年基ソラは腕を組みながらうーんと唸って振り返る。
「セフィロスが居れば見失わないと思ってたんだけどなぁ」
「私の探知能力が精巧なのは特定の人物だけだ」
「限定的だな」
ソラが振り向いた先。人波も神話の神の海割りの如く道を開いて通したのはセフィロス。語られる台詞にリヒターは苦笑い。
「それにしてもまさかあのミカゲが眼鏡を外すとあんな顔をしていたとはな」
そう言ったのはクロムである。
「いや尾行するにしても人数多すぎだろ」
正論で突っ込むパックンフラワー。
「えーだって放っておけないよ」
「結局は見失ったんだろ」
「そうだけど」
「ファミレスでも行って帰ろうぜ」
ソラは顎に手を当てながら眉間に皺まで寄せて悩んでいたが頭の中で天秤に掛けてみたところ空腹には抗えなかったようで。
「今の時間帯、大丈夫かな?」
「あーそこの裏通りから行ったところなら昼飯時でも空いてるとか何とかって聞いたけど?」
「行こう行こう!」
「結局メシかよ……、まあいいか!」