スキだらけですが、何か?




いっけなーい! 遅刻遅刻!

拙者しがない暗殺系忍者のミカゲ! 意味が分からない頻度で開かれる定例会議の日にアラームをセットし忘れてうっかり寝坊! 電光石火の如く大急ぎで着替えて部屋を飛び出したところ!

「へぶっ!」

開いた扉を躱しきれなかった。

「あ?」

部屋から出てきたのはパックマン。

「何して」
「ほんぎゃー!?」

悲鳴。

「……うるさ」
「拙者のベストフレンズが!」

眼鏡のことである。

「あーあ」

いつもなら並々ならぬ反射神経で躱せたものを今回は油断していたばかりに躱せなかっただけでなくプライベート時に愛用している瓶底眼鏡まで犠牲にしてしまう冒頭としては順調な滑り出し。ただのひび割れだけならまだ可愛いがレンズ部分が派手に破損していて使えそうもない。

「帰ります」
「いや何でだよ」

変わり果てた姿の眼鏡を胸に自室へ引き返そうとするミカゲの襟首をパックマンが掴んだ。

「眼鏡もないのに戦地に赴くなど!」
「ただの会議だろ。てかお前それ伊達じゃん」
「堪忍してください!」
「何時代だよ」

冷静なツッコミが飛んでくる。

「はいはい責任取ればいいんだろ」

溜め息。

「眼鏡なしでもまともな姿形にしてやるよ」
「お断りします」
「いいから来いって」
「イヤーッ!?」
 
 
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