春といえば?
どいつもこいつも。
「お花見はいつ頃の予定ですか?」
本当に。
「ルルトって好きなヤツいるのか?」
春だからって。
「っくしゅ」
くしゃみの音に思わず肩を跳ねる。
「……すまない」
「風邪か?」
「花粉症だよ」
そう答えたのはベレトだった。成る程確かに春といえばそういうのもあるのだったな。
「花粉の多い地域の任務は別に回そうか」
ロックマンは用紙を捲る。
「気持ちは有り難いけど」
ベレトは手を当てながら鼻を啜って。
「この季節は何処にでも花が咲いているから」
花。……そうか。
恋も戯言もそういうことか。
「それもそうだな」
何となく解が見つかった気がして笑みが溢れる。
「、隊長?」
「いや」
怪訝そうな視線を受けながら目を向けた先。
窓の外。春の花弁。
「悪くない季節になったな」
春吹けば。
心に芽吹く色の群れ。
なんて、
ドカァァァンッ!
「なに!?」
「わああっクロム!?」
「すみません、私です!」
「いや俺がルキナと特訓を」
「じゃあクロムさんじゃないですか!」
……春。
「行かないのか?」
「……ああ」
春なんて。
end.
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