春といえば?



俺も俺で。

「ロック?」

怪訝そうに首を傾げたのはマークである。

「難しそうな顔をしてるけど」
「良くも悪くもお前次第だ」

春というのはこれだからいけない。自分もついつい感化されてその空気に顔を綻ばせ浮かれたことを口走ってしまった。相手が相手なのだから仕方ないと理由が付くとはいえ仕事とプライベートは区別しているつもりだったのに。

「えっと」

ロックマンは改めて神妙な顔付きになって面談で使用している用紙に目を通してみる。個性豊かな話ばかり続いているように見えて順調に各隊員の面談は進んでいるのだ。予め配っておいた用紙に記入をお願いしてあるので本来そう難しいことは話さない。……本来であれば。

「その」
「シュルクのことか?」

言い当てられてマークはぎくりと肩を跳ねる。

「慣れたんじゃなかったのか」
「……いやぁ」

マークは苦笑して頬を人差し指で掻きながら目を逸らした。ロックマンは小さく溜め息。

「仕事に身が入らなくなるから共同の任務を減らしてほしいというわけだな」
「そ、そうなるね」
「本当に構わないのか?」

マークはきょとんとして振り返る。

「ああいや。煽っているんじゃない」

ロックマンは用紙を眺めながら。

「最近の動向からシュルクの能力の発動の条件が粗方絞れてきたからな」

彼の能力というのは無論未来視ビジョンのことである。

「お前が頷けば今すぐにでも」
「諦めます」
「話が早くて助かる」

今この時点で飛び込んでこない時点でそこまで含めて未来視で捉えていたんじゃないかと勘繰ってしまうが考えても仕方ないので割愛。
 
 
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