仲良くなぁれ!
次の瞬間。
「ジラァーッ!」
食堂の扉が開け放たれたかと思うと小柄の生き物が飛び込んできた。それまで騒動から離れた位置で全く気にも留めず食事していたレッドはそれを目に思わず立ち上がる。
「ジラーチ!?」
突然の乱入に誰もが目を奪われたが目的を思い出してロックマンは駆け出した。気付いたスピカも目の色を変えて黒の閃光を迸らせながら飛び出し振るわれた拳を腕を交差させて受け止める。次の回し蹴りを身を屈めて回避したが間髪入れず繰り出された踵落としは回避が間に合わな──
「ジラァ!」
ジラーチが眩いばかりの光を放つ。
「、!?」
ロックマンの体がふわりと浮いて踵落としを透かした──かと思えばすぐに浮力を失い無防備なスピカの上に敢えなく落下。双方気付いた時にはロックマンがスピカを押し倒すかのような姿勢に。
「リーダー!」
「隊長!」
「おいバカ離れろッ!」
「で、出来るならやっている……!」
見えない力がロックマンの体を押さえつけて。
唇が触れるか触れないかの瀬戸際。
「え、あ、」
おろおろするルーティにレッドが駆け寄る。
「どうしてジラーチが!?」
「た、多分バトルルームから逃げ出して」
「そんなはずはない! システムをアップデートした時に容量の都合上研究所に返したはず……」
「ええっ!」
じゃあ、あれは返し忘れたジラーチ!?
「ジラジラジラァッ!」
ジラーチが光を放てば今度はダークシャドウとフォーエス部隊どちらもの体がふわりと浮いた──かと思うと互いに勢いよく引き寄せられて。
「うわぁーっ!?」
てんやわんや。
「ルーティ! 何か他に心当たりは!」
「その、昨日確か乱闘中に出てきてそれで」
「願い事をしたりした!?」
「ええっと」
──仲良くしてくれないかなぁ……
「ぁ」
心当たりマックス。
「仲良くしてくれないかな、って……!」