仲良くなぁれ!




この世界には二つの人種が存在する。


弱きを助け強きを挫く正義と。

仇なす全てを組み敷く悪。


白と黒。

混ざり合うはずもない。


互いを尊重して分かり合えるなどある筈も。


「よぉ。待ち兼ねたぜ?」

金髪の少年は頬に黒の閃光を跳ねて。

「これで心置きなくり合える」
「楽しみにしていたところ申し訳ないが」

対峙する青の装甲を纏いし戦士は冷たく見下す。

「長くは続かないだろうな」


偽物集団ダークシャドウ率いるスピカ。

第四正義部隊フォーエス部隊率いるロックマン。


彼らは非常に仲が悪い。


「言ってろよ。どうせ負け惜しみになる」
「いずれ泣き言になるのが愉しみだ」

売り言葉に買い言葉。ルーティは苦笑い。

ご心配なく。──彼らはエックス邸にあるバトルルームの大乱闘システムで戦っているのだ。

「一応三人乱闘なんだから僕も」
「そこで見てろ」
「君は後だ」

怖い怖い怖い。

そりゃまあ仲良くしろなんて言わないけど。言いたいけど聞く耳持たずだし。

それでもせめて今日みたいにどちらも非番だって日くらい目を合わせたらバトルなんてそんなポケモントレーナーみたいな。もう既に雷だの弾だの飛び交う戦場を傍目に足下に落ちていたモンスターボールを拾い上げる。即座、ぽんと飛び出してきたのはねがいごとポケモンのジラーチ。

「あはは」

上機嫌に舞い上がっていく。

「……本当」

ルーティは溜め息。

「仲良くしてくれないかなぁ……」
 
 
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