ルフレちゃんは分かりたい
破壊神の拳を受け止めたのは竜化により硬度を増したカンナの腕だった。次いで死角から追い払うようにして振るわれた剣を即座に躱したがはらりと髪の毛が落ちるのを見てクレイジーはその剣の主を鋭く睨み付ける。
「ありがとうございますデス」
『かっこいい』
「間に合ってよかった」
カムイは優しく笑いかけながら剣を打ち払う。
「次は確実に仕留めよう。姉さん」
「そうですね。カムイ」
反してクレイジーは静かに冷笑する。
「あは。……誰に言ってんの?」
緊張の糸が張り詰める。
「答えてみろよ」
膨れ上がった苛立ちが弾ける。
「──不良品どもがッ!」
雷──それは確かに空を流れる雲ではなく何でもない虚空から生成されて地に落とされた。
「待ってください」
攻撃を仕掛けたのは──魔導書を構えたルフレ。
「お前までいるのかよ」
クレイジーは顔を顰める。
「嫌いなんだよね。お前ら正義部隊のこと」
遅れてリンクとロイも駆け付ける。
「大丈夫ですか?」
「はいデス」
『かっこよかった』
「それはいいけど」
一触即発。
「あなた達に聞きたいことがあります」
「クレイジー」
マスターが呼び付ける。
「可愛い可愛い"この世界"の愛し子が知恵をお借りしたいとのことだ──であれば我々も神々として喜んでお応えしようじゃないか」
どの口がほざくのかと野次を飛ばしてしまいそうな台詞だが流石は鶴の一声ならぬ兄の一声といったところでクレイジーはルフレをひと睨みすると空間転移を使ってマスターの隣に移動した。
「……あまり僕以外のこと可愛いとか言うなって言っただろ」
「そう言うお前が見たいだけだよ」
そっぽを向くクレイジーにマスターはくすくす。
「それで」
ゆっくりと視線を寄越しながら。
「苦情以外なら受け付けるが」
「あなた達は」
ルフレは踏み出す。
「……が」
「何?」
「聞こえないな」
「どっちが受けなのよ!」