ルフレちゃんは分かりたい
流石の天才軍師。その妹。誰が相手であれ一切臆することなく淡々と読み解いていく。
「怒らないのかよ」
「いや」
ユウは小さく息を吐き出す。
「そこまで見抜ける才能があるのにどうして兄の事が分からないとほざくのか気になってな」
至極正論である。
「それは」
ルフレは狼狽えた様に目を逸らした。
言い得ぬ事情というものがあるのだろう。兄妹揃って天才と謳われるだけあって周囲から向けられる期待や好奇の目に何かしら思うところはあったはずだ。攻めだの受けだのふざけた事を話している様で話の真意はもっと別のところにあるのではないだろうか。
「あ、あなた達には関係ないわよ」
「そうか」
ユウはそれ以上問い質そうとはしなかった。
「そろそろ出るぞ。馬鹿犬」
「おや。出かけるのですか?」
「貴様たちも否でも出る事になる」
え?
「──ッッ!?」
爆発音。
「なにを視たんだよ!」
「その目で確かめてみるといい」
これである。ロイとリンクは顔を見合わせる。
「敵襲ですか!」
「僕たちも行きます」
その場を離れるカムイとカンナを目にルフレも釣られて立ち上がる。災厄の目が捉えた未来に映り込んだ爆発音のその元凶──脳裏を掠める嫌な影形に自然と眉を寄せてしまいながら。
「……待ちなさい!」