ルフレちゃんは分かりたい
話を聞き付けた物好きまでやってきた。
「ルフレ殿ッ!」
食堂の扉を勢いよく開け放ったかと思えばこれまた目にも留まらぬ速さで椅子に座った彼女の側へ駆け付けると跪いて手を取りながら。
「私は受けですか攻めですか」
「リザイア」
「んはぁあっン!」
迅速な対応が過ぎる。
「ハァッハァッ……これが新ジャンル……」
「開拓すんな」
闇属性の魔法を直に浴びて床に倒れ伏すリオンを目に冷静に突っ込むロイ。
「うーん。どちらでしょうか」
「僕は受けに票を投じたいな」
寛容的な付き添いの双子が口々に。
「どう思いますか?」
カンナに話を振られたルフレは呆れ顔である。
「あぁあっ冷めた目で見下されている! もっとください!」
……ふいと目を逸らす。
「ありがとうございます!」
「五月蝿いぞ駄犬」
ようやく追い付いた保護者が蹴り上げた。
「あっあっ……も、もう一度……っ」
「くどい」
「読めたわ」
ユウとリオンのやり取りにルフレは口を開く。
「あなたが受けであなたが攻め」
そうして指差したのはそれぞれユウ、リオンの順番。リオンは瞬時に起き上がるとルフレの足元に正座の姿勢で滑り込みながら。
「如何にしてッ!」
「心の中を読むことができるでしょう」
ルフレは頬杖を付きながら。
「簡単な話だわ。あなたは形振り構わないようでいて受け入れてくれる相手を選んでいる。普段の気を衒ったような振る舞いも推し量っているようなもの。周囲が思うより賢いあなたはその実その目を使い熟している」
ユウの視線を受けて続けざま。
「……あなたも同じね。冷たく突き放しているように見えて居場所を与えている。もちろんそれが誰にでもというわけではなくて至極限定的。信頼していなければ成立するはずもない」
そこまで言って小さく溜め息。
「あなた達は確かに先輩にあたるけれど私は少し苦手だわ。その目で見過ぎないことね」