ルフレちゃんは分かりたい
ルフレは影を差して俯く。
「……な」
流石に言葉も出てこない様子。受けか攻めか訊ねているというのに晴天に響き渡る清々しい大声で返すのだからこの妹にしてこの兄有りというか。
「なるほど……!」
この兄にしてこの妹有り。
「ごめんなさい。私実は兄さんには攻めであってほしいと勝手に思っていたのだけど」
「う、うん」
「寛容的に順応的に固定概念に囚われず過ごしているというのなら話は別だわ。その場その場に合わせて愛することも愛されることも選ぶならその方がずっと私の兄さんらしいもの!」
ルフレは感極まった様子で早口で詰め寄る。
「直近は!」
「そ、それはちょっと」
「でも……そうね。そうともなれば確かどちらが受ける側でも楽しめるグッズがあったはずよ」
ぱっと離れたかと思えば顎に手を当てながらぶつぶつと呟く様は時と場面こそ違えど集中している時のマークと瓜二つ。
「ところで私はこれから先シュルクの事はお義兄さんと呼ぶべきなのかしら」
「え、ええと……」
「僕たち帰っていい?」
クレイジーが呆れたように投げかける。
「ええ。大変参考になったわ!」
「はいはーい」
「ちょっ」
「まずは隊長と掛け合って部隊名簿のプロフィールの更新が必要ね。時間は……まだあるからその手のショップ巡りには間に合うかしら」
分からなくたっていいこともある。
「ぇあ」
ばちんと引き戻される。
「未来視かい?」
「何を視たのですか?」
口々に両脇から訊ねるカムイとカンナにシュルクは先程のマークに負けず劣らず頭の天辺から勢いよく湯気を噴き出して。
「マーク、ルフレッ!」
……天才双子軍師のマークとルフレ。
シュルクに叱られたのは──言うまでもない。
end.
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