ルフレちゃんは分かりたい




東の国──イーリス聖王国を治める王には後に天才と謳われる軍師が付いていた。風が吹けば兄が雨が降れば妹が。それぞれの知識を持って戦況を見極め策を講じ勝利へと導き出す。

天才軍師の肩書きをまさしく欲しいままに。


けれど。

妹には欠点があった。……それは。


「兄さん」

今日こそは。

そう思って胸の中の魔導書を抱き締める。

「うん?」


無知は恥だと思う。

だって私は天才軍師の妹だもの。


「な、……なんでもないわ」

首を横に振って話を流す。

今日もやっぱり聞けずじまい。

「マーク! ルフレ!」

駆け寄ってきたのはクロムだった。

「クロム! 任務の帰りかい?」
「いや……少し、……壊してしまってな」
「……君はまた……」

やっぱり。

私自身の力で理解しなくては──
 
 
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