合宿の時間!



こつこつと。靴音を響かせながら外へ向かう。

自動ドアが開くと冷たい風が出迎えた。誘われるように顔を上げれば紺碧のカーテンに煌めきの星々が飾り付けられていた。仮面の奥で目を細めて平和を謳うその空を見上げながら、いい夜だなと頭の中で思う。


「眠れませんか」


哀愁漂う背中に投げかけられた声に今更驚く筈もなかった。ゆっくりと振り返る。

「貴殿も同じことでは。……ベレト殿」


愛弟子たる剣士達が話に盛り上がる中そっとあの場を離れたのはメタナイトだった。その姿を見つけてベレトは追ってきていたのである。

「良かったんですか」

ベレトは肩を並べて空を見上げながらふと沈黙を解くようにぽつりと訊ねる。

「明日響くのは自分たちだからな」

至極正論を返した後に、

「貴殿は物事を難しく考え過ぎる」

メタナイトは言った。

「……ばれていましたか」

ベレトは自嘲気味に静かに笑う。


それから──ベレトは今はもう遠ざかりつつある過去を思い返しながらゆっくりと話した。

メタナイトは黙っていた。

腕を組み仮面の奥の瞼を閉ざして。柔らかく吹き抜ける風を感じながら。


「……そうか」
 
 
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