合宿の時間!
油断した。
「も、もう寝る時間だから」
「俺が入隊した時は何も聞かなかったぞ」
「その時は、別に……まだ……」
クロムに釣られて答えかけてはっとする。
「何でもない!」
「はいはい逃げない逃げない」
「わーっ!?」
慌てて布団を被ろうとするマークの布団をロイが軽く流しながら捲り上げる。
「どっちが告白したんだい?」
「英雄王まで……!」
「僕も気になるなあ」
カムイはにこにこと笑いながら覗き込む。
「うっ。……その、……僕からです……」
おおぉっと感心の声が揃う。
「あの時は……僕も焦っていて……」
「何でだよ。あれだけいい感じだったのに」
頬杖を付きながらロイは苦笑。
「言い得ぬ事情があるんだよ」
「フォーエス部隊も隊員が増えましたからね」
「シュルクは故郷に幼馴染みも居るしな」
マルス、リンクに続けてクロムは繰り返し頷く。
「お前の妹は何も言わなかったのか?」
「それが……結構乗り気で」
「この前凄かったもんな」
アイクは疑問符。
「居なかったっけ?」
「い、言わなくていいですよ!」
「除け者は好かないんだが」
「そういうつもりじゃ」
「虐めんなって」
小声とも言い難い声量で語り合い、笑い合う。
「で。ファーストキスは?」
「いやいやいや!」
ほんの少し開いていた扉の隙間が。
……ぱたんと閉まった。