これがホントのおもてなし!
あれだけ人数が少ないからこれからだ何だと話していたフォーエス部隊も今や立派にX部隊よりも隊員数が膨らんでいる。知名度が上がったこともあって自ら入隊を希望した隊員も居るんだろうなと感心を抱きながら辿り着いた先は。
「、わ……!」
これまた見事に何処の高級レストランだという風に煌びやかに飾り付けられた食堂に出迎えられて思わずほうけた声が出る。天井のシャンデリアとか見るからに高そうな絵画とか壺とか。というかこれを三十分で用意したフォーエス部隊って……
「ご主人様。お嬢様」
奥まで進み出たロックマンは笑いかける。
「どうぞお好きな席へお掛けください」
白いテーブルクロスが敷かれた上に食器やカトラリーを数センチ数ミリの狂いなく並べられた円卓は計六つ並べられており七人まで座れる。好きな席へどうぞと言われたのならその通りに動くのが普通なのだが。
「ストップ」
マルスが止めた。
「え?」
「ロックマンの居る位置が正面だよね」
ルーティはきょとんとしている。
「……好きな席に、って」
「本当にそう思うかい?」
ぎくりとした。
「上座と下座は分かるよね?」
「い、一応」
「ルーティとウルフは左奥の席に」
マルスはてきぱきと。
「フォックスとファルコも同じ席に」
「い、いいのか?」
「元DX部隊のメンバーから上座に座った方が」
「やれやれ。英雄王殿には敵わないな」
ロックマンが口を挟んだ。
「この程度の常識。わざわざ言わなくとも心得ておられるものだと思ったが」
にっこりと。
「我々の見込み違いだったかな?」
「……次は口を慎もう」
腹の探り合い。だがしかし彼の様子からマルスの読みは当たっていたらしい。……もう少しでピコピコハンマーの嵐になるところだった。