これがホントのおもてなし!
「お帰りなさいませ。──ご主人様、お嬢様」
正面玄関の役割を果たす扉の両脇。
縦二列にずらりと。
男性陣は燕尾服、女性陣はロングスカートのメイド服に身を包んで。左手を前にして腹部に当て、右手は後ろに回して三十度の敬礼。
いやいや。……いやいやいや。
あまりにもレベルが高すぎる。
「ひゃわわわわ……!」
ピチカは顔を真っ赤にしながらリムの腕に抱き付いている。呆気に取られるのは無理もない。何故なら彼らは比較的"顔が良い"。
清楚を具現化したような掴みの挨拶と姿勢から身なりまで滞りなく完璧に。誰も仕事として気持ちを切り替えているのか嘆くこともなければ逃げも隠れもせず。そうなればこちらこそ騒ぐ余裕もなく先頭のルーティが口をぱくぱくとさせていると中央から進み出たのはこの男。
「上長方。如何だろうか」
ロックマンは爽やかな笑顔で。
「す……凄いですね」
「はは。では執事長としてお応えしよう」
言うや否やゆっくりとルーティの前に跪いて。
左手を胸に置いて軽く頭を垂れながら。
「お褒めに預かり恐悦至極でございます」
顔を上げて。柔らかく微笑む。
「……ご主人様?」