これがホントのおもてなし!
ごくり。
「勝手に評価してた件について謝罪は」
「順位の低い者から発表する」
無視されたカービィは頬に青筋を浮かべる。
順位だなんて。此方がマナーを指摘される都度書き留めていたようだしやはりマナーを一番指摘された人から名前を挙げられるのだろうか。まさかそれで罰ゲームとまでは言わないだろうけど言い包めるのが人一番に上手い男だ。何を言い出したものか分からない。
「ワースト一位」
ロックマンは小さく息を吐き出して告げる。
「パックンフラワー」
え?
「……マジで?」
「あーあ」
頑張ったのにと落胆するパックンフラワーをジュニアが他人事のように横目に見る。
「次点でキングクルール。君はマナーの関係ないところで叩きすぎだ」
「やっぱりわざとやったんか」
ドンキーはキングクルールを睨み付けて。
「次は──」
「え、えっと、ロックマン?」
ルーティが口を挟んだ。
「ロックマンが評価してたのって」
すると。その男は目を丸くしながら。
「うちの隊員だが?」
ええぇえぇ……
「たったの三十分で玄関に始まり食事を終えるまでのマナーを監査しろというのは無理強いというものかもしれないが。早い話がそこで試されるのは暗記力や記憶力だけの話──そしてそれは当然この先活躍するであろう必須スキル」
ロックマンは微笑する。
「上長の方々にこのような素晴らしい機会を設けていただけるとはまさしく恐悦至極というもの。しかしながら自身の評価を執拗に気にかけて警戒するというのは些か不審なものがあるが」
目を細めて。
「まさか我々が尊敬の念を抱く正義の鑑たる上長方に不正などお有りではないな?」
ゾワッ。
「な、……ない……です……」
斯くして。
息の詰まる食事会は無事に終えたのだが。
「フォーエス部隊の人たちって覚えがいいよね」
「覚えないと後が怖いんだよ」
フォックスの説明にルーティは疑問符。
「そのままでいてくれ……」
「ええ……」
end.
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