これがホントのおもてなし!



「ええっと……どうかした、かな……?」

あからさまにぎこちない様子で聞いたのはルーティだった。静止の声を掛けたのは無論ロックマン──その男の見つめる先には。

「……先程から顔色が冴えないようですが」

視線を受けたユウは静かに目を伏せる。

「お口に合いませんでしたか」
「……いや」
「ソラ。念の為ドクターに報告を」
「分かった」

ユウは小さく舌を打つ。……勘の働く奴め。

思わぬ切り札の退場に当然のことながら誰もが食事の手を止めてしまっていた。ロックマンはその様子に気付くと途端に微笑みを浮かべて。

「どうぞご主人様、お嬢様。食事の続きを」


絶対にバレてる。


「俺らんとこはええけど……」
「はい。一部は問題なさそうですが」

各席王族や貴族のメンバーがちらほらと居るがばらつきはある。例えば子供たちの座っている席は平民しか居ないしルーティの居る席も。

「実は王家の血族だったりしない?」
「ンなわけねえだろ」

こっそり聞いたルーティをウルフはひと睨み。

「どうしよう……」

ピチカは料理を前に縮こまっている。ポワソンといえば魚料理。もちろん冷めない内に頂きたいところだが当然テーブルマナーは知らない。とはいえここで揃いも揃って手を止めていたのでは何か不正があったのではと気付かれて──


──聞こえますか……?


この声は。

「り、」

思わず口を開きかけたトゥーンの脛をテーブルの下でディディーが蹴り上げる。

「あっづ!」
「え?」
「熱かったんだって!」
「……まだ手を付けてないよな」

訝しげなコウを前にディディーは苦笑い。


──あの……僕たちの席に……有識者っぽい人がいた、ので……テーブルマナーを共有します……
 
 
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