これがホントのおもてなし!
ユウは小さく息を吐き出した。
「お前にしては冴えとるやんか」
「……貴様だけ遮断してもいいんだぞ」
「ゔっ……か、神様仏様ユウ様流石ですぅー」
ドンキーはすかさずぎこちない笑みを浮かべ声を裏返してしまいながら手を合わせる。
「大丈夫なの?」
「揃って恥をかくよりはいい」
ユウは頭を抱える。近場とはいえ特定の人物四十人余りにテレパシーを使って語りかけるのはなかなか気力を使うものだった。とはいえ、どうやら読み通りだったらしく全体を離れて見張っているロックマンの手は明らかに止まっている。
「な、なんかプレッシャーだな」
「僕だけで背負う罪じゃなくてよかったよ」
口々に言うロイとマルスはそれぞれが公爵家の息子と一国を担う王子。当然のこと立場上基本的なマナーというものは心得ている。
「始めてくれ」
ユウは一度伏せた瞼をゆっくりと開く。
金色の目が二人を捉える。
前菜──カトラリーは外側から。前菜は左側から食べ進める。
左手にフォークを持って食材を押さえながら右手にナイフを持って切る。次にフォークを滑らせソースを塗り、ナイフで仕上げて口へ運ぶ。
「一気に食べたい……」
カービィが眉を寄せながらぼやいた。
「なんか言った?」
「いえなにも」
専属のパックマンは手元を眺めながら。
「ふぅん……」
スープ──片手で皿を軽く押さえスプーンは手前から向こう側へ。
掬う量はスプーンの三分の二を目安に。零さないように音を立てないように。
「あだっ」
マリオは叩かれた箇所を摩りながら見上げる。
「温かいスープは温かい内に飲むのが基本ですが息を吹きかけて冷ますのはマナー違反です」
ロゼッタは静かな口調で告げる。
「気持ちは分かるけど常識だよ兄さん」
「そういう時は一口の量を減らして少しずつ飲むようにすんだぜ?」
口々に言うのはルイージとパックンフラワー。
「恥ずかしいわね」
「ちょっとびっくりしちゃったわ」
「我が輩でもやらないぞ?」
「父さんでもしないんだぞマリオ」
「なんで俺だけ勢揃いで叩かれるんだよ!」
ポワソン。
「……ストップ」
ゆっくりと口を開いたのは。