これがホントのおもてなし!
さて。ようやく落ち着いたところで誰の専属にも付いていないらしいフォーエス部隊の隊員が料理を運んできた。それも西洋のコース料理といったところらしく自然と緊張感が高まる。
平日の真っ昼間だというのに誰かさんが焚き付けたばかりに片時も油断ならない食事会に変貌してしまうなんて。何がどうしてこうなった。
「こ、これなんだっけ」
「説明くらいしてくれるだろ」
「エンジェルトマトのカルパッチョです」
トレーナーがにっこりと笑って説明する。
「……どれ使うんだよ」
ディディーはカトラリーをじっと見つめる。間違えれば当然ピコピコハンマーによる制裁が下されることだろう。想い人と同じ席とだけあり失敗はあまりしたくない。
「お前先に食べろよ」
「何でだよ」
成功すれば真似ればいいし失敗すれば反対のことをやってみればいい。そう考えてトゥーンに話を振ってみたが当然のこと眉を寄せて断固拒否。
──聞こえるか。
突如として脳内に響いてきたのは。
「ゆ、」
「しーっ」
リュカの口をネスが塞ぐ。
「どうかしたの」
専属のハルは怪訝そうにしている。
「なななっなんでも」
「不審な動きは」
「虫が止まってたんだよ!」
苦しい言い訳だがリュカはこくこくと頷いて。
「……そう」
ハルは構えを解く。
──聞こえているようだな。
これは。ユウのテレパシーのようだ。
──ロックマンが何かを書き留めている。
「は、」
思わず声を漏らすファルコの足をテーブルの下ですかさずフォックスが踏み付ける。
「いっ……づ、……」
──それが何かまでは分からないが警戒するに越したことはない。ここから先、私のテレパシーを使って情報を共有する。幸いにもマルスとロイが同席だからな。彼らを参考に私が伝えるので情報共有があるまで自信のない者は動かないように。