苦手なもの
「ちょっと、よしなさいよ」
足早にバトルルームを後にしたロイは、ある人物の元へ向かっていた。ゲムヲはその背中を見送っていたが、見兼ねたサムスは止めようとしていて。
「止めるな、サムス! お前だって悔しくないのかっ……あいつ、撃墜数、勝利数共に一位独占してんだぜ!?」
ロイはウルフの弱点を探ろうとしていた。
――弱点を探るのが悪いんじゃない。弱点を克服しないのが悪いんだ! とのこと。
止めようとしているサムスだったが、彼女もウルフの弱点が気になっている一人だった。誰だって、誰かの弱点を知っておきたいものだと彼女は(勝手に)思うのだ。
「……何してんの?」
その時、ちょうど単独の任務を終えて戻ってきたらしいルーティが、二人に声をかけた。ロイは勢いよく振り返る。
「ルーティ!」
そう。――彼の探し求めていた人物は、ウルフのパートナーのルーティだったのだ。
勢いよく名前を呼ばれ、一歩後退するルーティ。そんな彼にロイは早足で歩み寄ると、ガシッと両肩を掴んで。
「ひ」
「頼む! ウルフの弱点を教えてくれ!」