報連相は大切に



がたん、と。椅子を返す音がして。

飛び出してきたのは。

「、!」

少し離れた席に座っていたはずのシュルクは誰が気付くより何を言うより早く両目に青の灯をともして駆け込んでマークの口を塞いでいた。しんと静まり返る中シュルクは耳元で。

「そ……そっちじゃなくて」

恥ずかしげに。

「その、手前の話……」

ぼそぼそと。


「付き合ってるって話の方、だから……」


え。


「あ……え……ぁあ、……は、はは」

こればかりは。

自分でも信じられないくらい真っ赤になっているのが分かる。

「そう、……そうだよね」

……恥ずかしい。

「は……はい……付き合って、ます……」


この勘違いは恥ずかしい。


「やっとかよ」
「水くさいじゃねえか」

変に空気を緊張させてしまっていたのか至る所で安堵の声が上がる。シュルクは咳払い。もしや未来視ビジョンで恥をかく未来でも見たのだろうか。

でも、確かに。辻褄が合う。


そりゃそうですよね!


「私が応援していた手前、引け目を感じていたのかもしれないけど気にする必要なかったのよ」

ルフレは唇を尖らせながら言う。

「ひと言も相談してくれないじゃない」

ああ。うん。

「仲間内で報連相を怠るなど御法度だぞ」
「報告するほどのことじゃないとかって思うのは分からなくもないけどね」

アブノーマルな集団じゃなくてよかった。

「ところで」

ロックマンは怪訝そうに。

「お前のその顔は何か早とちりでもしていたかのように窺えるが……何を勘違いしていたんだ?」

熱。急上昇。

「まままっマーク落ち着い」
「ギガファイアァアアッ!」


……報連相は大切に。



end.
 
 
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