恋泥棒の巣窟!
黒い塊──それがジグザグとまるで予測不可能な動きをしながら。けれど確実に此方へと向かっている。ディディーが慌ててピーナッツ・ポップガンを構えたがその黒い塊は一度ディディーの頭の上に飛び乗るとトゥーンのいる方向へ。
「うわうわ!」
トゥーンが大慌てで剣を振り回すと黒い塊は弾かれたのか否か今度はピチカに飛び付いた。
「き、」
青い閃光が跳ねる。
「んきゃあああ!?」
放電。
「あらあら」
駆け付けてきたのはベヨネッタとルルトだった。
「炭になっちゃったわね」
「仕方ないわ。目を離したのは私だもの」
黒い塊の正体が何だったのかは知らないが大方捕獲任務の対象の生き物だったのだろう。ルルトは小さく息を吐いたがその場に座り込んでしまっているピチカに気付いて歩み寄る。
「大丈、」
言いかけて。
「……ふ、……うぅう……っ」
今にも泣き出しそうな様子に気付く。
「ぴ、ピチカ……」
「ごめん……」
ディディーとトゥーンは口々に。
戦士とは一概に言ったところでその点除けばまだまだ遊びたい盛りの子供でしかない。加えて彼女は驚いた拍子に放電してしまうくらいには電気の扱いに長けていない。ルルトはピチカの前に膝を付くとゆっくりと息を吸い込んで。
「──泣かないッ!」