恋泥棒の巣窟!



エレベーターの中。

「し、……信用していいのかよ」
「いやだって……フォーエス部隊だし……」
「何コソコソ話してやがる」

ぎろりと睨み付けたのは──リドリー。

よりにもよってフォーエス部隊の中で最も扱いづらいとされているその人に助けてもらう羽目になるとは。そのお陰でこうしてフォーエス寮へと向かうためのエレベーターを使うことが出来ているわけだがどんな不意を突いて何を仕掛けてくるかも分からない相手である。警戒しないはずもなく五人は身を寄せ合ってエレベーターの隅に避難。

「なななっ何でもねえよ!」
「あぁ?」
「何でも御座いませんッ」

こ、怖すぎる……!

「どうして助けてくれたの?」

ピチカは意を決したかのように口を開いた。

「お、おい」
「余計なこと聞くなって」

リドリーは溜め息を吐き出す。

「未熟なヤツが一番嫌いなんだよ。愚図で鈍間で見ていて苛々するし吐き気さえ覚える。……邪魔だったから退かした。……それだけの話だ」


エレベーターの扉が開くとリドリーはポケットから取り出した煙草にライターの火を点けながら通路に出て少し行った先の扉の奥へと消えた。

「……なんか意外かも」

ピチカは目をぱちくりとさせながら。

「要約すると僕たちが困ってるところを見過ごせなかったから助けたってことでしょ?」
「流石にその解釈は都合が良すぎないか?」

呆れ顔のディディーに反してピチカは拳を握る。

「絶対そうだよ! 今のだって僕たちが居たから降りるまで煙草吸わなかったんだと思うし!」

そうと分かれば。ピチカは手を合わせながら。

「かっこいいかも……!」

ディディーとトゥーンは大慌て。

「や、やめとけって!」
「あれ絶対他にも女作るタイプだぞ!」

失礼である。

「えー? そうかなぁ?」
「そうだよ!」

声を揃える二人にピチカはびくりとしながら。

「うーん……そうなのかも……」

危なっかしすぎる……!
 
 
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