恋泥棒の巣窟!



恋心を抱く相手にそう言われては敵わない。

「分かったよ……」
「ほ、ほら行くぞ」

しどろもどろしながら鶴の一声で取っ組み合いを即座にやめてディディーとトゥーンは歩き出す。司令塔に入るとまずは受付へ。三階から先の階層はどんな権力者であれここでの受付を済ませないことには赴くことすら許されない。

「すみませーん」

ピチカが真っ先に受付の女性に声を掛けた。

「僕たちフォーエス部隊の人たちに用事があって来たんですけど……」
「アポは取ってありますか?」

子供たちの頭上には疑問符の群れ。

「アポ……ってなんだ?」
「アッポー?」
「リンゴなわけないだろ」
「えと、……多分とってないです……」

リュカがネスの後ろでおずおずと答えると受付の女性は困ったように眉を下げる。

「そうなると……ご案内できかねますね……」
「えー!」
「おにぃ何も伝えてなかったのかな?」
「そもそも任務で居ねーじゃん」
「どうすんだよ……」


おろおろする子供たちの背後。

差す影がひとつ。


「おい」

その目は機嫌悪そうに見下して。

「フォーエス部隊が──何だって?」
 
 
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