例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説
「パックマン知ってるよ」
じいっとダンジョンを見つめながら。
「これ絶対罠仕掛けられてるだろ」
「引き返す理由もない」
「充分理由じゃん」
「そうか」
仕事モードのロックマンは冷めた口調で。
「何処から見られているかも分からないのに恐れをなして背中を向けて引き返す様を見せつけたいのなら止めはしないぞパックマン」
言葉に詰まる。
「か……帰るとは言っていませんけど」
「決まりですね」
先頭のロックマンに続いてルキナは歩き出す。
「灯りを頼めるか」
「任せて」
マークが魔導書を広げて短く詠唱すると内側に青い火を閉じ込めた透明な球が前方と後方にそれぞれ一個ずつ浮かび上がった。一方でルルトも手のひらの上に小さな電気の球を作り出して壁や床に怪しい仕掛けはないか照らし出す。
「今のところは何もなさそうね」
「……どうした。シュルク」
クラウドが訊ねる。
「いや……随分と造りが新しいなって。見た目は遺跡みたいだけど……あ、ほら、こことか」
「あまり触らないほうがいい」
手を伸ばしたシュルクの手首をイレブンが掴む。
「ご……ごめん」
イレブンは黙って手首を解放する。
「皆。止まってくれ」