例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説
ともあれ無事に合流を果たし、大扉の前。
「……この先にバトレンジャーの方々が」
「そうだろうな」
扉は異様なオーラを醸し出している。それでも臆さずロックマンは隊員それぞれに目配せをすると扉に手を掛けてゆっくりと押し開いた。
「アーッハッハッハ!」
高らかな笑い声。
「あは、ッげほごほ! げほ!」
「ウケる」
「笑ってんじゃねーよクソ兄貴!」
声はすれど肝心の姿形が見当たらない。
「よく来たな! 政府の犬ども!」
機械音。
「テメーらを歓迎してやるよ」
開け放たれていた扉が勢いよく閉まると室内は一瞬にして暗闇に包まれたが直ぐさま明かりが点いた。その全貌が明らかとなった時、一行は思わず言葉を失う。
「──こいつでなァ!」
大きさにして約四メートル超。まん丸としたメタルブラックの球体に長い手足が取り付けられており二足歩行で進む。ぎらりと紅色に光る二つの目は様々な機能を搭載しており視界に捉えた正義部隊の能力を即時分析する。そして注目すべきは胸と思われる箇所に埋め込まれている人の影。具体的には下半身と両腕を機械に取り込まれており、ぐったりと頭を垂れている。それが四体。
「バトレンジャー!」
ロックマンは驚愕の声をあげた。
「くふふ……ようこそ……最後の舞台へ」
操縦席のダークマルスは怪しく笑う。
「ほら、ほら……倒しにきたんだよねえ……?」
高速タイピングの後エンターキーを弾けば巨大なマシンは唸り声をあげて立ちはだかる。
「……倒してごらんよ。倒せるものならねえ!」