例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説
シュルクは重い頭を抱えながら。
「全く覚えてない……ごめん、マーク……」
「大丈夫だよ」
この先が行き止まりではないらしいことが救いだった。力になれなかったどころか敵の術中にハマるなんて、と落ち込むシュルクを励ましながら歩くこと数分──通路の先に複数の影が見受けられ即座にそれが仲間のものだと察する。
「皆!」
「はーいお疲れ様」
「何を食べているんだい!?」
びちびちと活きの良い蛸足のような何かを生のまま噛みちぎって食べているのはパックマン。
「触手」
「……!?」
「害は無いようだから安心しろ」
「絵面的に安心出来ないよ!」
「マークさん!」
駆け寄ってきたのはルキナ。
「大丈夫でしたか!」
「うわああぁあっ!?」
血まみれ!
「安心しなさい。敵のものだわ」
「び、びっくりした……!」
「賑やかだな」
振り向いた先にいたのは。
「……クラウド。その肩に乗っているのは」
「チュチュという下級魔族だそうだ」
「そ、そうなんだ……」
……懐かれてない?
「触るか?」
「い、いや、遠慮しておくよ」
道が違えばこうなっていたのだろうか。
マークは思わず苦笑い。