例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説
レイアーゼ都市。……の、外れの外れ。
正直な話。亜空間でもない限り文字通り地の果てまで追ってくるような連中だ。来ないはずがないという嬉しくもない確信すら持っている。
「……それで」
不服そうな男が一人。
「何で関係のない俺たちまで巻き込むんだ!」
とある部屋の一室で声を荒げたのは白を基調に赤ラインの衣装を身に纏ったマリオ。
「えー」
此方は白を基調にピンクのラインの衣装を身に纏ったカービィ。ソファーの上で焼き菓子を頬張り漫画を手に思いきり寛ぎながら。
「巻き込まれたと思ってるのマリオだけだよ?」
「俺たちは合意の上ですから」
「そうそう」
「お前らぁあっ!」
白を基調に緑のラインの衣装を身に纏ったリンクと白を基調に青のラインの衣装を身に纏ったマルス。言わずもがなこの姿は今や幅広い層で大人気の特撮ヒーロードラマ、スペシャル戦隊バトレンジャーのコスチュームである。
「ふふ……もう一度餌食になってみるぅ……?」
「うぎゃー!?」
完全なる不意打ちで真後ろから耳元に囁きかけるのだからマリオは悲鳴と条件反射のストレート。ダークマルスはにやにやと笑いながら躱すと。
「あはぁ……イイ声……もっと鳴かせたく」
「勘弁しろ!」
スピカは頭を抱えて深々と溜め息。
「憧れのバトレンジャーが捕まりましたともなれば正義厨の馬鹿どものことだ。出てこないはずがない。……でも信用していいのかよ」
「なぁに言ってんの」
カービィは親指に付いた粉砂糖を舐め取って。
「適材適所。寧ろ得意分野」
悪役顔負けの悪い顔。
「骨の髄までお堅い連中の極上のメス顔ってやつをたっぷり拝んでやろーじゃん?」