例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説
靴音。──いよいよ大トリの登場である。
「皆は大丈夫かな……」
ぽつりと呟いたのはシュルクだった。
「問題ないよ」
マークが笑いかける。
「数々の試練を乗り越えてきた戦士だからね」
今度、映像を見つめるのはマルスだった。
「どーいう仕掛けにしたわけ?」
「お楽しみは最後まで取っておくものだよ」
「言いますね」
リンクは小さく笑ってその隣に並ぶ。
「リーダー」
ダークウルフはぽつりと。
「この流れだと──」
「しっ!」
スピカはすかさず人差し指を立てる。
「いっそ分かってやってんだよ」
「そうなんですか? では撤退の準備を」
「分かってないですねえ」
「分かってねえなぁ」
ダークファルコとダークフォックスは口々に。
「やられるまでが流れなんだよ」
「分かってるなら撤退するべきだろ」
「ご都合主義とは無縁ですね」
場面は移り変わる。
「、シュルク」
マークが呼びかけるとシュルクも警戒に目の色を変えて前方を見つめた。──何かいる。
「くふ……ふふふっ……」
その影は不気味に笑いながら。それでいて恍惚と自身の頬を両手で包み込んで赤の双眸を擡げる。
「待ってたよ。それじゃあ始めよっかぁ……」