例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説



水の滴る音。

「、?」

クラウドは足を止めて振り返った。

「どうした」

釣られてイレブンが怪訝そうに振り向く。

その背後。

「っ!」

不透明な何かが襲いかかった。イレブンは気配を察知、既の所で躱して剣を抜いて構える。

「現れたな」

クラウドも愛用の大剣を構えるとゆっくりと後退してイレブンと背中合わせになっていた。


二人を囲うのは。

ゲル状の下級魔族──チュチュ。


「くっ」

真っ先に飛び出して斬りかかるクラウドだったが両断された側から分裂して結果的に個体が増えてしまった。飛びかかってきたチュチュを引き剥がすも地面に叩き付けられたそれは水溜まりのように広がってもすぐに固形の姿に戻り、目をギョロギョロとさせながらじりじりと迫ってくる。

一方でイレブンも斬れど払えどまるで受け流されているかのようで全く効いていない様子に思わず眉を寄せた。そんな最中不意に死角から襲ってきたチュチュが腕に張り付いた。反射的に引っ剥がしたが残された粘液がじわじわと服を溶かすのを見てギョッとする。
 
 
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