例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説
複数の靴音。けれど不意に立ち止まる。
「……分かれ道か」
T字路。クラウドは一歩進み出て右と左を交互に見るがどちらも先の方は暗闇で黒く塗り潰されているかのようではっきりと窺えない。どちらか罠なのかどちらも罠なのか。
「二手に分かれよう」
マークは提案した後に顎に手を添えながら思案する。──イレブンはフォーエス部隊の中でも新人の部類だ。サポートを受ける必要がある。彼の戦闘スタイルから一緒に組むとしたらシュルクの方が適任かもしれないな。……よし。
「──イレブンはシュルクと」
言いかけて。
イレブンはクラウドの腕を捕まえる。
「……?」
クラウドは疑問符。
「わたしは彼と一緒に行く」
「……でもバランス的に」
「シュルクは嫌」
嫌。
「そ、そうなんだ……」
マークが苦笑するその傍らシュルクの頭の上には"嫌"と書かれた石がずしりと。
「し……シュルクは僕と一緒に行こうか」
「う、うん……」
そんな具合にマークとシュルクは右の道へ。
「……シュルク、イレブンに何かした?」
「な、何もしてない……と、思う……」
一方で左の道を行くクラウドとイレブン。
「なんで俺なんだ?」
流石にぱっと腕を離して。
「……二人は付き合っているのでは」
「付き合って……?」
「なんでもない」
単純に空気を読んだだけだった。