例のトラップダンジョンならどんな相手でも屈服させられる説
近未来都市とまで称される知識の宝庫たる天空大都市レイアーゼには誇り高き防衛部隊が複数存在する。長らく世話になっているのはその内の一つである特殊防衛部隊X部隊だが次いで名を揚げてきているのが比較的最近結成された第四正義部隊フォーエス部隊。
一般的に見て優秀というだけなら幾らでも返り討ちにしてやれるのだが頭が切れるというだけでなく能力も申し分ない。この世界を支配して理想郷を作ろうと企てている此方の計画を芽も出ない内から尽く刈り取ってくる始末。
正直に言おう。
奴らは。X部隊より圧倒的に厄介すぎる。
「なーんで人間って快楽に弱いんスかねえ」
……こいつらはこいつらで真っ昼間からリビングのテレビを占領して何を観ているんだ。
「ね。リーダー?」
「話を振るな」
画面には触手に纏わりつかれて何とも言えない声をあげる情操教育上宜しくない番組。キレ散らかしたい気持ちをグッと堪えてスピカはリモコンを奪いテレビの電源を切る。
「本当……素晴らしいよねぇ……」
びっくりした。
「弱きを助け強きを挫くと豪語する純粋無垢な正義が罠に掛けられて快楽に堕ちる……態度は一変して懸命に許しを乞う様ときたらもう……」
また何か言ってる。
「リーダーもそう思うでしょう……?」
「勘弁しろ」
「でも正直一理あるんじゃないっスかぁ?」
……このパターンは。
「決まりだねぇ」
ダークマルスは恍惚とした笑みを浮かべる。
「誰をどうしてやろうかなんて愚問に等しい……異論はないよねぇ。リーダー……?」
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