ダークフォースは眠らない
気にかけるという行為が仇となったのだろう。
「ひ」
例えば。扉を開けて直ぐの場所に。
「こんにちはー」
洗面所で顔を洗っていればいつの間にか鏡に。
「ばぁ」
……布団の中に。
ホラー過ぎるだろ!
「作戦の内容は以上だ」
場面は変わって冒頭と同じ研究施設を模した黒塗りの基地の双子の鎮座する王の間。
「ところで」
マスターは訝しげに。
「お前……ちゃんと寝ているのか?」
どうしてこいつらじゃなくて俺ばかり──ダーズに付き纏われる羽目になったスピカは連日しっかりとした睡眠を取れず目の下に隈を作ってしまっていた。神出鬼没なのはこの際どうでもいいがどうしてこうも姿の現し方がホラーそのものなのか分からない。
「仕事押し付けすぎたんじゃない?」
「お前じゃないんだぞ」
マスターは溜め息。
「何か質問があれば受け付けるが」
「……ダーズ」
スピカは跪いた姿勢でぽつりと。
「あいつは、寝るのか……?」