ダークフォースは眠らない



びっくりした。

めちゃくちゃびっくりした。

「リーダーよく叫ばなかったっスねぇ」
「お前らが普段から神出鬼没だからだろ……」

部下たちの解放は当然上司の退室を確認した後である。感心するダークフォックスだが一方のスピカはそんな彼に悟られないよう背を向けて胸に手を置きながらそれでも動悸がおさまらず顔が引き攣ってしまっている。

「てーか何処にいたんだ?」
「上です。入ってきた時から居ましたよ」

ダークファルコは気付いていたらしい。

「天井いっぱいに触手を這わせて」

人差し指を立てながら。

「目をかっ開いてじっと見つめていましたよ」

ホラーなんだよな。

「あー、ねみー」

ダークフォックスは体を伸ばして欠伸をする。何せ時刻は午前零時。日を跨ぐ前に済ませようと思っていたものの概ね予想通り。

「リーダー。俺たちも休みましょう」
「それもそうだな」
「湯浴みを忘れないでくださいね」
「てーかさぁ」

ダークフォックスはふとした疑問を口にする。

「混沌様って寝んのかな」
 
 
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