遊ばまほしきばかりなれど



そもそも古文だったんだ。

……というツッコミはさておき。


「あ」


遊びたいだけ。


「本当にそれだけかよ」
「ふふ。私が嘘を付くのは苦手だと知っているだろうに意地の悪い御方だ」

はぁぁぁ……?

「お前まさかずっと疑っていたのか」
「仕方ないじゃん信用する相手でもないし」
「その心構えは尊敬に値するよ破壊神」
「お前馬鹿にしてるだろ」

ぎろりと。

「私も弟もまともに遊べた試しが無くてな」


ふと。想像してしまった。

そして重ねる。──研究者たちに飼われるだけの実験動物だった自分たちの過去と。


「気に障るのであれば同じ真似はしない」

言えば必ず約束するひとだ。

「クレイジー」

どうするんだとばかりに名前を呼ばれて。

「あー」

ばつが悪そうに。

「そ……そもそもゲームとか遊びの類いは人が多ければ多いほど楽しいものですから?」

キーラははたと静止する。

「例えば」
「……スマブラとか」

聞くや否や顔を綻ばせて笑う。

「成る程」


神様とか化身とか。……関係ないでしょ。

遊びたい盛りの子どもなので。


「チーム戦をしよう」
「このキャラ使ってもいい?」
「えー僕も使いたかったんだけど」
「俺はこいつにするか」
「げぇ……兄さんそれマジ?」



end.
 
 
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