遊ばまほしきばかりなれど
……その後も。
「王手」
将棋。
「ロイヤルストレートフラッシュ」
ポーカー。
「わぁ」
……黒ひげ危機一発。
「あんなに勢いよく飛び出すんだねお兄様」
「私も実際に拝んだのは初めてだよ」
煮え切らない。絶対に何かある。
「いい加減に休憩しないか」
マスターは疲れた様子で右手を振りながら。
「あまり言いたくはないんだがな」
勝負を仕掛ける側のキーラはともかくその相手をしているマスターは当然のことながらずっと右手だけで勝負に応じているわけで。であれば当然疲労の具合も違ってくる。
「ふむ」
キーラは少し考えるような素振りを見せて、
「チェスをしよう」
「さっきもやっただろ」
「同じ手を打つとは限らない」
こいつ。まさか兄さんを思いきり疲労させて油断した隙に条件付きの勝負を持ちかけてあわよくばこの世界を自分のものにしてやろうって魂胆じゃないだろうな──!?
「どうした。難しい顔をして」
事情を知らない兄は怪訝そうに見つめてくる。
「では」
「ちょっと待った!」
思い通りにはさせない。
「……僕が相手になる」
クレイジーは自身の胸に手を当てながら。
「勝てるもんなら勝ってみろよ」